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悼む

高2の5月、父が家を出た。総合市民センターや小学校の体育館など、市の大きな仕事を請け負う塗装業を営んでいた父が、事業を破産させ、消えてしまった。その日、祖母は命を絶ち、祖父は寝たきりとなった。家のまわりには、どっちがどっちだかわからない刑事と借金取りがうろついた。借金のカタに連れて行くとコワイ人に脅されたこともあった。母は毎日泣き続けた。私は祖母の葬式で、明日からは絶対泣かないと誓い、心に「私は強いんだ」と書いた杭を立てた。
身体の弱い母は持病を隠して、パート勤務の時間を増やした。私たち三人姉妹は、親戚や知人にバラバラに預けられようとした。どうしても3人いっしょにいたいと、学校に行きたいと、奨学金をもらい、アルバイトをして、家事をこなした。小学校の先生になりたかった私の夢は、一瞬で消えた。祖父はいやがっていた老人ホームに入り、10日目になくなった。母は後に何度も入院した。

あれから23年がたった。

亡くなった母の携帯には父あてに送られたメールが残っていた。どうして離婚ぜずにいたのかわかった気がした。
妹が祭壇を見ながら、「いつも好きなことばかりして幸せな人たちやなあ」と言った。
「お母さん、苦労されたんやねえと言ってくれる人が多いけど、苦労したのは私やで」
私は苦笑した。

母は私の子どもたちに「あんたらの母さんは、人が一人くらい死んでも泣くような人じゃないで」と言っていた。「そこまで強くさせたのはいったい誰なんよ」私は言いたかった。

「私は強いんだ」という杭は今も私の心に立っている。だから、泣けない。悲しむことも甘えることも上手くできなくて、疲れ果てるまで動いて、うずくまって寝てしまう。母を悼む今の私。

yumin


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